さくらこどもセンターの教育プログラムは、TEACCH、教科学習、GYM、ソーシャルスキルトレーニング(SST)の4つのプログラムから構成されています。思考力を養う教科学習。視覚的に考慮されたTEACCH。動作的なGYM。自己と他者、静と動のあらゆる方向から子どもに刺激をあたえていきます。

4つのプログラムの図「4つのプログラムがそれぞれ有機的につながりながら、あらゆる方向から子どもに刺激をあたえます。」

TEACCH

TEACCHとは、コミュニケーションにハンディーキャップを持つ自閉症の子どもたちへの教育とトレーニングです。自立を目標に、自分自身でする。自分で理解しひとりで活動できることを目指します。

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子どものどこを見ているか

模倣、微細運動、目と手の協応、認知、思考、記憶、言語理解、言語表出、知識、常識の発達尺度を見て高めていきます。

教材について

さくらこどもセンターには、1000種類を超えるTEACCHの教材があります。代表的な教材をねらいとともに紹介します。

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機能領域:知視覚・位置表象
発達年齢レベル:5A
ねらい:色や数の違いを意識しつつ空白を含む位置を捉え模倣する

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機能領域:知視覚・図形
発達年齢レベル:5C
ねらい:色と形状に注意を払い、パーツの向きや表裏に注目した図形の構成と分割

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機能領域:知視覚・未測量
発達年齢レベル:2B
ねらい:色と大きさの違いに注目し分別する力

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機能領域:微細運動・知視覚・位置表象
発達年齢レベル:3C
ねらい:色と列を意識しつつ配置する空間認知力

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機能領域:知視覚・位置表象・言語理解
発達年齢レベル:7A
ねらい:空間認知力と手順の優先順位を考える力

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機能領域:微細運動・両手の協応
発達年齢レベル:4A
ねらい:まるめる、挟む両手の指先の協応

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機能領域:微細運動・両手の協応・自助
発達年齢レベル:3B
ねらい:ホックをとめる、ボタンを通す両手の協応と指先の巧緻性

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機能領域:模倣・知視覚・図形
発達年齢レベル:3B
ねらい:左右、前後の位置関係を意識しつつ配置する

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機能領域:模倣・知視覚・図形
発達年齢レベル:4B
ねらい:視覚情報の理解と図形の構成

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機能領域:模倣・知視覚・集中持続力
発達年齢レベル:3A
ねらい:多数のパーツの中から色・形に注目し選別する力と3×3マスの配置

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機能領域:微細運動・知視覚・言語
発達年齢レベル:3A
ねらい:仲間を分類し指先でクリップをとめる微細運動

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機能領域:知覚・言語理解・記憶・社会性
発達年齢レベル:5B
ねらい:左右上下斜め~階など日常生活で使われる言葉に慣れ親しむ。指示を聞き取り記憶に留める力

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機能領域:知覚
発達年齢レベル:5A
ねらい:法則性に気付く力

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機能領域:言語理解・知覚
発達年齢レベル:7A
ねらい:指示書を自力で読み取り対応する力

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機能領域:自助
発達年齢レベル:7C
ねらい:くつ、エプロンなど自立活動の為蝶々結びの操作を学ぶ

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機能領域:微細運動・操作
発達年齢レベル:5C
ねらい:規則的な重ね織りのパターンを織る

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機能領域:知視覚・思考
発達年齢レベル:6B
ねらい:複雑な形状の上下左右表裏と多方向からの観察力

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機能領域:模倣・知視覚
発達年齢レベル:6A
ねらい:色、大きさ、順序を考える力

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機能領域:言語理解・社会性(買い物)
発達年齢レベル:7B
ねらい:お金の計算と電卓の使用

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機能領域:目と手の協応・指先の力のコントロール
発達年齢レベル:3C
ねらい:手首の力をコントロールしつつ揺れる不安定な紐を操作する

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機能領域:知視覚
発達年齢レベル:6B
ねらい:優先順位などをイメージしつつ見本通り順番に並べる力

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機能領域:知視覚・図形
発達年齢レベル:5C
ねらい:三角と四角を組み合わせた図案を構成する力。細部へ注目する力

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機能領域:知視覚・図形
発達年齢レベル:4B
ねらい:同図形発見

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機能領域:知視覚・空間認知
発達年齢レベル:7A
ねらい:絵カードの情報から遠近の位置を読み取り物の位置関係を捉える力

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機能領域:言語理解・言語表出・知視覚
発達年齢レベル:7B
ねらい:方眼上の位置理解と説明力

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機能領域:言語理解・言語表出・知覚・記憶
発達年齢レベル:6C
ねらい:2つの指示を聞き取り、記憶に留める方眼上の位置表象

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機能領域:言語理解・社会性(時間の管理)
発達年齢レベル:7B
ねらい:アナログ時計、デジタル時計に慣れ親しむ

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機能領域:言語理解・認知・記憶・自立
発達年齢レベル:5B
ねらい:指示書の読解力。指示を記憶に留め遂行する力

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機能領域:言語理解・語彙力・作業
発達年齢レベル:7B
ねらい:指示を読解し遂行する作業力

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機能領域:社会性(量)
発達年齢レベル:8A
ねらい:秤を用いて分量を正確にはかる

教科学習

教科学習は学校の補修や予習とは違い、その子の学年でやる教材を選んでいるわけではありません。一人ひとりの発達を踏まえた上で、どの年齢の学習をするのが適切かを踏まえて、ていねいに、じっくり進めていきます。

教材について

文章読解力や集中力を鍛えるもの。推理力や聞き取り力、ルールや常識を学ぶもの。さくらこどもセンターでは、全国から集めた教材を教科学習として使っています。一人ひとりの発達特性にあった教材を選ぶので、だいたい一人につき、6〜7冊のドリルを持っています。

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GYM

さくらこどもセンターのGYMは、身体バランス機能・ボディイメージ・空間認知等、運動機能の向上を目指すトレーニングを行います。一人ひとりの子どもの発達段階にあわせた設定で、失敗や不安を感じることなく運動への意欲や自信を高めると共に、ルールを守る・順番を待つ・姿勢を保つ・協力するなど、集団活動の基礎となる力を養います。

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社会性も意識したGYM

集団の中で待つ力、他者を見る力、応援する力など、さくらこどもセンターのGYMは、社会性も意識したアクティビティです。

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アクティビティについて

さくらこどもセンターでは、約100種類以上のGYMアクティビティがあります。そこで普段、指導者は子どものどこを見ているのか。指導者の目線を紹介します

指導者の目線の写真

指導者の目線:
見えない相手を感じながら歩調を合わせることができているかな。
バランスボールを落とさないように姿勢を保持して横歩きができるかな。

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指導者の目線:
フープを追視してタイミング良く腕を差し出しキャッチができるかな。
左右への動きに対応して一歩を踏み出すことができているかな。

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指導者の目線:
最後まで正面でバトンの動きを見ているかな。
俊敏な左右の動きでバトンをかわすことができるかな。

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指導者の目線:
両脚と両腕をタイミング良く協調させ袋を操ることできるかな。
下半身を柔軟にしっかりと使って遠くまでジャンプができるかな。

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指導者の目線:
バーをしっかりと握って両腕で体を支えることができるかな。
障害物を意識して脚を操作できるかな。

指導者の目線の写真

指導者の目線:
ネットの刺激を操作しながら前進できるな。
腕の力で体の動きをコントロールできるかな。

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指導者の目線:
体の軸を保持して良い姿勢で座っているかな。
台車の動きを怖がらずスピードに体を合わせることができるかな。

指導者の目線の写真

指導者の目線:
夏の日差しにも負けないで水遊びを楽しめるかな。
お友達と仲良くおもちゃの貸し借りもできるかな。

指導者の目線の写真

指導者の目線:
エリクソンの森を通り抜ける風を感じながら、動植物に触れ合う喜びを味わえているかな。

指導者の目線の写真

指導者の目線:
お約束を守って屋外でも集団行動ができているかな。
広場に到着するまではお散歩棒を持って並んで歩けるかな。

指導者の目線の写真

指導者の目線:
大きなトランポリンで思いっきり飛び跳ねたり走ったりできるかな。
不安定な足元でも体幹を保つことができているかな。

指導者の目線の写真

指導者の目線:
広いホールでも先生のお話に注目できるかな。
お名前を順番に呼ばれるまで姿勢よく待っていられるかな。

指導者の目線の写真

指導者の目線:
姿勢よくごあいさつできるかな。
自己コントロールして集団行動のお約束を守れるかな。

指導者の目線の写真

指導者の目線:
右手、左足、左手、右足と順に協調させて進めているかな。
緊張を保ちしっかり踏ん張れているかな。

指導者の目線の写真

指導者の目線:
不安定な中でバランスを保って動きをコントロールできるかな。
足裏で一歩一歩を踏みしめながら進めているかな。

指導者の目線の写真

指導者の目線:怖がらずに全身を伸ばし重力に身を任せることができるかな。

指導者の目線の写真

指導者の目線:
フープと体の距離感を意識して動きをコントロールできているかな。
下半身の筋力でしっかりと体を支えられているかな。

ソーシャルスキルトレーニング (SST)

さくらこどもセンターのソーシャルスキルトレーニング(SST)は、他人と良い関係を築き、社会に適応するために必要な能力をつける集団学習です。

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身につける力

  • 集中トレーニング(集中を持続する力)
  • 聞き取り力(集団の中で話を聞き取る力)
  • 社会性(常識やルールを守ることができる力)
  • 感情コントロール(自分の思い通りにならないことを受け入れる力)
  • 自己表現(自分の気持ちを人に伝える力)

テーマについて

現在、さくらこどもセンターのSSTでは、発達年齢に応じて11のグループがあります。ある子どもの相談をみんなで考えたり、保護者の方から聞いた悩みごとをテーマにしたりと、毎回様々なテーマで学習しています。そこで、発達年齢別にいくつか「テーマ」と「ねらい」を紹介します。

発達年齢:5~7歳

『ふわふわことば、チクチクことば』
相手を嬉しい気持ちにさせる言葉、嫌な気持にさせる言葉を具体的に学び意識させる。

『玄関でのマナー』
挨拶、靴をそろえるなど、周りに良い印象を与えられるマナーを、ロールプレイを通して学び身につける。

『もう一度言ってください』
聞き取れなかった時に怒ったり諦めてしまうのではなく、ていねいな言葉で助けを求められるようになる。

発達年齢:7~9歳

『ゲームで負けたら』
ゲームをする際は勝つことも負けることもあることを知らせる。負けた際には怒ったり泣いたりするのではなく、また次頑張ろうと受け入れることが大切であることを学ぶ。
事前に負ける可能性があることを予告しておいた上でゲームを行い、負けを受け入れる練習を行う。

発達年齢:8~9歳

『いいところ探し』
自分自身を客観的に見つめて、長所に気がつくことが出来る。自己肯定感を高める。

発達年齢:8〜10歳

『協力するってどういうこと?』
事案をもとに具体的に協力する言動を考える。自身のこれまでの行動を振り返り評価する。

発達年齢:9~10歳

『好きな事を話し続けてもいいのかな?』
ロールプレイで交互に行うことで相手の気持ちに気がつかせる。
「もう少し話してもいいですか?」と尋ねるなど、相手に配慮したふるまいを身につける。

『怒りとの付き合い方』
自分がどんな時にイライラしやすいか客観的に知る。イライラすることは悪い事ではないが、誰かにあたったり、乱暴したり、溜め込んでしまうことはよくないことだと知る。
怒りの発散方法を具体的に考える。

発達年齢:10~12歳

『短所を改善するために』
自身を客観的に見つめて、短所に気がつき受け入れることが出来る。
お互いに改善策をアドバイスしあうことができる

『ていねいな言い方』
相手や場面によって「~です」とていねいな言い方に変換する必要があることを学ぶ。具体的な場面を設定し練習を行う。

『他人が見たらどう思う?』
第三者の目に気がつくことができる。社会的に受け入れられる行動かを判断できるようになる。

『こんな時どうする?』
想定と違う事が起きた際に、いくつも対応策を考えることが出来るよう例題を使ってシミュレーションする。
問題解決力を高める

発達年齢:12~14歳

『異性への接し方』
異性と話す時の距離、気をつけることを具体的に学び、ロールプレイで練習する

佐々木正美先生からの
推薦メッセージ

さくらこどもセンターは、
日本で3本の指に入る学校です。

ただただ感心し感動しています。といいますのは、私自身も子ども精神科の医者として45年も臨床や研究をやってきた者なんです。エリック・H・エリクソンが提唱したライフサイクルモデル、それは健全な子どもがより健全に育っていくプロセスですけれども、もう一方ではたまたま発達障害という状態で生まれてきた子どもに、世界的に優れた療育モデル・教育モデルでありますアメリカノースカロライナ、エリックショプラーたちのTEACCHプログラムという私にとっては2つのバッグボーンですが、それが本当に見事に入念に手をかけ心をかけ作り上げてこられている。当然大きな成果を上げていらっしゃいますよ。その成果は子どもたちが青年に、成人になった時によりしっかり見えてくる、もうそれは確かだとわかります。感動しています。ただただ感動していますね。なかなか思ってもここまでやれる人は少ないですよ。両方をしっかりなさっているという人もまた少ないし、そういう意味ではこれは日本全国私の知る限り3本の指に確実に入る優れた教育モデル、臨床モデルだとはっきり思います。

松本 緑『だいじょうぶの花束をあなたへ』から抜粋

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佐々木正美 先生

川崎医療福祉大学医療福祉学部教授
横浜市総合リハビリテーションセンター参与
ノースカロライナ大学医学部精神科臨床教授