教育プログラムについて
4つの
教育プログラム
さくらこどもセンターの教育プログラムは、TEACCH、教科学習、GYM、ソーシャルスキルトレーニング(SST)の4つのプログラムから構成されています。思考力を養う教科学習。視覚的に考慮されたTEACCH。動作的なGYM。自己と他者、静と動のあらゆる方向から子どもに刺激をあたえていきます。
TEACCH
TEACCHとは、コミュニケーションにハンディーキャップを持つ自閉症の子どもたちへの教育とトレーニングです。自立を目標に、自分自身でする。自分で理解しひとりで活動できることを目指します。
子どものどこを見ているか
模倣、微細運動、目と手の協応、認知、思考、記憶、言語理解、言語表出、知識、常識の発達尺度を見て高めていきます。
教材について
さくらこどもセンターには、1000種類を超えるTEACCHの教材があります。代表的な教材をねらいとともに紹介します。
教科学習
教科学習は学校の補修や予習とは違い、その子の学年でやる教材を選んでいるわけではありません。一人ひとりの発達を踏まえた上で、どの年齢の学習をするのが適切かを踏まえて、ていねいに、じっくり進めていきます。
教材について
文章読解力や集中力を鍛えるもの。推理力や聞き取り力、ルールや常識を学ぶもの。さくらこどもセンターでは、全国から集めた教材を教科学習として使っています。一人ひとりの発達特性にあった教材を選ぶので、だいたい一人につき、6〜7冊のドリルを持っています。
GYM
さくらこどもセンターのGYMは、身体バランス機能・ボディイメージ・空間認知等、運動機能の向上を目指すトレーニングを行います。一人ひとりの子どもの発達段階にあわせた設定で、失敗や不安を感じることなく運動への意欲や自信を高めると共に、ルールを守る・順番を待つ・姿勢を保つ・協力するなど、集団活動の基礎となる力を養います。
社会性も意識したGYM
集団の中で待つ力、他者を見る力、応援する力など、さくらこどもセンターのGYMは、社会性も意識したアクティビティです。
アクティビティについて
さくらこどもセンターでは、約100種類以上のGYMアクティビティがあります。そこで普段、指導者は子どものどこを見ているのか。指導者の目線を紹介します
ソーシャルスキルトレーニング (SST)
さくらこどもセンターのソーシャルスキルトレーニング(SST)は、他人と良い関係を築き、社会に適応するために必要な能力をつける集団学習です。
身につける力
- 集中トレーニング(集中を持続する力)
- 聞き取り力(集団の中で話を聞き取る力)
- 社会性(常識やルールを守ることができる力)
- 感情コントロール(自分の思い通りにならないことを受け入れる力)
- 自己表現(自分の気持ちを人に伝える力)
テーマについて
現在、さくらこどもセンターのSSTでは、発達年齢に応じて11のグループがあります。ある子どもの相談をみんなで考えたり、保護者の方から聞いた悩みごとをテーマにしたりと、毎回様々なテーマで学習しています。そこで、発達年齢別にいくつか「テーマ」と「ねらい」を紹介します。
発達年齢:5~7歳
『ふわふわことば、チクチクことば』
相手を嬉しい気持ちにさせる言葉、嫌な気持にさせる言葉を具体的に学び意識させる。
『玄関でのマナー』
挨拶、靴をそろえるなど、周りに良い印象を与えられるマナーを、ロールプレイを通して学び身につける。
『もう一度言ってください』
聞き取れなかった時に怒ったり諦めてしまうのではなく、ていねいな言葉で助けを求められるようになる。
発達年齢:7~9歳
『ゲームで負けたら』
ゲームをする際は勝つことも負けることもあることを知らせる。負けた際には怒ったり泣いたりするのではなく、また次頑張ろうと受け入れることが大切であることを学ぶ。
事前に負ける可能性があることを予告しておいた上でゲームを行い、負けを受け入れる練習を行う。
発達年齢:8~9歳
『いいところ探し』
自分自身を客観的に見つめて、長所に気がつくことが出来る。自己肯定感を高める。
発達年齢:8〜10歳
『協力するってどういうこと?』
事案をもとに具体的に協力する言動を考える。自身のこれまでの行動を振り返り評価する。
発達年齢:9~10歳
『好きな事を話し続けてもいいのかな?』
ロールプレイで交互に行うことで相手の気持ちに気がつかせる。
「もう少し話してもいいですか?」と尋ねるなど、相手に配慮したふるまいを身につける。
『怒りとの付き合い方』
自分がどんな時にイライラしやすいか客観的に知る。イライラすることは悪い事ではないが、誰かにあたったり、乱暴したり、溜め込んでしまうことはよくないことだと知る。
怒りの発散方法を具体的に考える。
発達年齢:10~12歳
『短所を改善するために』
自身を客観的に見つめて、短所に気がつき受け入れることが出来る。
お互いに改善策をアドバイスしあうことができる
『ていねいな言い方』
相手や場面によって「~です」とていねいな言い方に変換する必要があることを学ぶ。具体的な場面を設定し練習を行う。
『他人が見たらどう思う?』
第三者の目に気がつくことができる。社会的に受け入れられる行動かを判断できるようになる。
『こんな時どうする?』
想定と違う事が起きた際に、いくつも対応策を考えることが出来るよう例題を使ってシミュレーションする。
問題解決力を高める
発達年齢:12~14歳
『異性への接し方』
異性と話す時の距離、気をつけることを具体的に学び、ロールプレイで練習する
佐々木正美先生からの
推薦メッセージ
さくらこどもセンターは、
日本で3本の指に入る学校です。
ただただ感心し感動しています。といいますのは、私自身も子ども精神科の医者として45年も臨床や研究をやってきた者なんです。エリック・H・エリクソンが提唱したライフサイクルモデル、それは健全な子どもがより健全に育っていくプロセスですけれども、もう一方ではたまたま発達障害という状態で生まれてきた子どもに、世界的に優れた療育モデル・教育モデルでありますアメリカノースカロライナ、エリックショプラーたちのTEACCHプログラムという私にとっては2つのバッグボーンですが、それが本当に見事に入念に手をかけ心をかけ作り上げてこられている。当然大きな成果を上げていらっしゃいますよ。その成果は子どもたちが青年に、成人になった時によりしっかり見えてくる、もうそれは確かだとわかります。感動しています。ただただ感動していますね。なかなか思ってもここまでやれる人は少ないですよ。両方をしっかりなさっているという人もまた少ないし、そういう意味ではこれは日本全国私の知る限り3本の指に確実に入る優れた教育モデル、臨床モデルだとはっきり思います。
松本 緑『だいじょうぶの花束をあなたへ』から抜粋
佐々木正美 先生
川崎医療福祉大学医療福祉学部教授
横浜市総合リハビリテーションセンター参与
ノースカロライナ大学医学部精神科臨床教授